カール・ハイアセンの『顔を返せ』(下)を読み終えた。今回の主人公である元フロリダ検察局の捜査官ミック・ストラナハンも、ばっちり私好みの主人公だったが、今回も登場している(ハイアセンのミステリにたびたび登場する)アル・ガルシア警部もいい。
どちらもアウトロー的だが、シニカルなユーモアたっぷりのタフガイという感じ。ミックとは、お互いにさんざん悪口をいいながらも、男でなければわからないといった類の友情=信頼感を持っているといった関係。
フロリダという場所柄、汚職や買収なんていうのは日常茶飯事なのだが、ミックやガルシアもそういうことを否定はしないが、ちゃんと正義は貫くといった具合で、血なまぐさい殺人などがあったにも関わらず、結末は妙に明るい。ハイアセンお得意の、「登場人物のその後」も笑える。
さて、昨年から集め回ったアメリカ文学の数々。買うだけ買って安心し、ほとんど未読なのだが、その中の1冊に重大な間違いを犯していたことに気づいてしまった。リチャード・フォードの
『銀の森の少年』 (原題
『Quest for the Faradawn』 ) を読もうと思って、訳者のあとがきを見たら、
「あのアメリカのリチャード・フォードではない」 と書かれていたのだ。なんと、こちらはイギリスの作家だった。
たしかに、「あのアメリカのリチャード・フォード」の本当の作品(というのも変だが)
『ロック・スプリングズ』 に比べれば、全然作風の違うものだが、たまには児童書やファンタジーも書いちゃおうという、マイケル・シェイボンやルイーズ・アードリック、ジョイス・キャロル・オーツなどという作家だっているわけだから、微塵も疑っていなかった。
にしても、恥ずかしながら堂々と
アメリカ文学作家リスト にも入れていたし、本を購入したときには「リチャード・フォードをやっと入手!」などと日記にまで書いていたというのに、誰も気がつかなかったのだろうか?ていうか、みな知ってて知らんふりだったとか・・・?世間て冷たい!
そういや、Yahoo!の新元良一さんの掲示板にも、「リチャード・フォードの『銀の森の少年』を入手しました」などと書いて、無知蒙昧をさらした覚えがある。でも、あそこでも誰も何も言わなかった。なんてこった!
ま、知らんふりというより、あれこれ知っているようでも、みな限界があるってことだろう。とにかく、
作家リストのリチャード・フォードの項目 だけは修正しておいた。個人的な好みとしては、イギリスのリチャード・フォードのほうが好きかもしれないが。
〓〓〓 BOOK
◆青山先生の新刊
『ネットと戦争―9.11からのアメリカ文化』 /青山 南 (著)
価格: ¥735 (税込)
新書: 208 p ; 出版社: 岩波書店 ; ISBN:4004309131 ; (2004/10)
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詳細はこちら ※内容は
「ロスト・オン・ザ・ネット」 などの記事をまとめたもの
◆読了した本
『顔を返せ』(下) /カール・ハイアセン (著), 汀 一弘
文庫: 310 p ; サイズ(cm): 15
出版社: 角川書店 ; ISBN: 4042655025 ; 下 巻 (1992/11)
内容(「BOOK」データベースより) 整形外科医ルディ・グレイヴラインは世の変身願望症患者から金を巻き上げることに余念がなかった。失踪した女子大生もルディの患者だった。近頃、四年前の事件をむし返えそうとしている者がいる。ルディは殺し屋を雇った。ケモ―誰もがそうよぶ無気味な巨漢―は、以前、整形手術に失敗していた。見るも無残になってしまった顔を元にもどしてもらうことを条件に殺しを引き受けたのだが…。
※画像は原書
『Skin Tight』
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