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日刊知的ぐうたら生活

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月別アーカイブ  【 2005年01月 】 

『越境』 読了

やっと、コーマック・マッカーシーの『越境』を読み終える。とはいえ、これもいつまでも読み終えたくない作品のひとつだった。マッカーシーの世界は、「孤高」という言葉がぴったりの、けして飾られた言葉などないのに、とても美しい世界だ。

前にも書いたかと思うが、マッカーシーの自然の観察眼の鋭さは、あらゆる場面ではっとするものがあって、自然はけして美しいだけでなく、厳しく無情でもあると教えてくれるのだが、それでもなお、彼の描く自然は美しい。

情景描写には、そうたやすく感動しない私だが、彼の言葉は美しい。それは翻訳の黒原氏の力もあると思うが、日本語で読んでも、原文に負けないくらい十分に感動できる。

ただし、この<国境三部作>の二作目は、非常に哲学的な作品だ。三部作の他二作と比較しても、その傾向は顕著だと思う。たまに血迷って哲学的なことを書くマッカーシーが、大いに血迷った作品と言えるだろう。しかしそれが、過酷な自然の描写とあいまって、さらに「孤高さ」を際立たせている。

個人的に芸術的だと思う文章というのには、なかなかお目にかかれないのだが、これは芸術だと思った。


〓〓〓 BOOK

◆読了した本

『越境』/コーマック・マッカーシー (著), 黒原 敏行 (翻訳), Cormac McCarthy (原著)
単行本: 390 p ; サイズ(cm): 19 x 13
出版社: 早川書房 ; ISBN: 4152079606 ; (1995/10)
内容(「BOOK」データベースより)
第二次大戦前夜―。ニュー・メキシコ州の小さな牧場で育った16歳の少年ビリーは、罠にかかった牝狼を故郷の山に帰してやろうと決心し、ひとり国境を越えてメキシコへ向かう。だが苦難の旅を終え、家に戻ったビリーが知ったのは、馬泥棒に両親が殺されたという恐ろしい事実だった。奪われた馬を取り戻すために、彼は生き残った弟のボイドを連れて、ふたたびメキシコに不法入国する―。失われたものを捜し求め、革命やジプシーや盗賊、そして自然と神話に彩られた異国へと越境していく少年の運命を、ボーダーレスな文体で壮大に描き、絶賛の嵐を呼ぶ「国境三部作」第二作。

※画像は原書 『The Crossing (The Border Trilogy, V. 2)』
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【 2005/01/11/23/18/56 (Tue) 】 読書と日常 | TB(0) | CM(0)