ロスに到着したまゆみさんからの新着メールで、彼女のみならず、ハリケーン・カトリーナで被災した人たちが、精神的に大きなトラウマを抱えていることを知った。実は、私もそれを一番心配していたのだ。
最初に連絡が取れたときには、とりあえず無事でよかったと思ったが、次第に精神的にだいじょうぶなのか?という心配が増していた。向こうは避難している最中だから、あまり詳しい事情も聞けないし、私が心配しているだろうと、メールをくれるだけでもありがたかったのだが、目的地につき、ひとまずほっとしたところで、やはり精神的ダメージは深刻だと気づいたに違いないと思う。しかし、こんな風に冷静に語れるのは、当事者ではないからだ。
ロスに到着したからといって、すぐに新しい生活を始められるわけでもない。くぐり抜けてきた地獄の恐怖と、先行きの不安で、誰もかれもが精神的にまいっているようだ。後にしてきたニューオーリンズのこと、この先の生活のこと、果たしてニューオーリンズに帰れるのか、そういった様々なことを考えて、皆一様に意気消沈しているようなのだ。
私は今すぐにでも、ロスに行きたいと思っている。行ったからといって、話を聞くことくらいしかできないのだが、こうしてぬくぬくとしている自分は、何か間違っているような気がしている。どうしても黙って見過ごすことはできない。自分には関係ないと、適当に心配しているだけでなく、あえて難しい状況の中に飛び込まなくてはいけないと感じている。
〓〓〓 BOOK
◆読了した本
『大地の王の再来(上)ルーンロードⅠ』/デイヴィッド・ファーランド (著), 笠井 道子 (翻訳)
単行本: 427 p ; サイズ(cm): 22
出版社: 角川書店 ; ISBN: 4829175818 ; 1〔上〕 巻 (2005/03/29)
出版社 / 著者からの内容紹介驚愕のスケールで描く英雄ファンタジー戦記、ついに開幕!全米で600万部の人気ファンタジー小説をついに日本語化。全世界の征服を目指す無敵の超人、世紀末覇王に、若き〈大地の王〉が立ち向かう! しかしその戦いの背後で人類の真の敵が目覚めようとしていた……。
カバーより<魅力>が失われていく!!
<変成棒>(フォーシブル)から言葉にならない痛みが走った。目を開くと、両手の皮膚が地獄の業火に焼かれたみたいに乾き、ひびわれるのが見えた。手首の欠陥が木の根のように浮き上がり、爪は白墨のようにもろくなった。「これはうそよ。わたしがこんなに醜いはずがない」。<変成棒>は<筋力>や<持久力>といった能力を人から人へ賦与することができる。5人から<筋力>を賦与された者は、巨岩をも持ち上げ、10人の<持久力>をもつものはどんな傷にも耐えられた。さらに国を守るという誓約を認められ、そのために必要な賦与を受けたものは、ルーン卿(ロード)と呼ばれた─。
南方の諸国を次々と制圧し、民衆から数万の賦与を吸い上げた、希代の超人・大王アーテンが、ついに北方の国々にその牙を向けた!数十の賦与を受けた<無敵戦士>や、炎をあやつる炎紡ぎ(フレイムウィーバー)、氷原巨人(フロウス・ジャイアント)などの異種族を率いた大王軍に、北の国々は対抗することができるのか!?
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