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日刊知的ぐうたら生活

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月別アーカイブ  【 2005年10月 】 

『夜中に犬に起こった奇妙な事件』

『夜中に犬に起こった奇妙な事件』を読み終える。面白かったけど、読むのがとっても面倒でもあった。なぜかというと・・・(これが主人公クリストファーの口癖)。

主人公である15歳のクリストファー・ブーンは、数学や物理が大好きで、頭もとてもいい。いつも難しい本を読み、何も考えたくなくなると、素数や倍数のことを考えたり、二次方程式を解いたりする。ビッグバンとか隠喩とか「オッカムのかみそり」なんて話もちゃんと説明できる。

だが、彼は自閉症である。だから、人の表情を読めなかったり、感情を抑えられなかったり、いろいろと不都合なことがある。その彼が、近所の犬が殺された事件を扱うミステリーを書き始めた。

なぜかというと、学校で本を書きなさいと言われたからで、ミステリーにしたのはなぜかというと、シャーロック・ホームズが好きだから、なんである。

嘘をつくこともできないので、途中で説明をやめることは不可能。最後まできちんと説明しなくては気がすまない。実はこれが面白いのだが、おや、そういう理屈でくるのか!と驚く場合もあるし、読むのが面倒になってしまうこともあるのだ。時に屁理屈になることもあるのだが、この理屈が面白いのだから、一字一句ちゃんと読まなくてはならない。時に予想を超える理屈があるため、ざっと読むのは無理というものだ。

それと、クリストファーは知らない場所や知らない人が嫌いだ。なぜかというと、物事を全部見て説明がつかなければ気がすまないために、知らない場所に行くと、頭の中が一気に情報過多になってしまうし、知らない人は悪い人かもしれないと思うためだ。

クリストファーは、そこに何人の人がいたか、窓はいくつあったか、車は何台あったかということまで、全部数字として頭に入れる。知っている場所なら、だいたい同じ数字が浮かぶが、知らないところでは、全く予測がつかないため、パニックになってしまう。しかも、黄色は良い色で、赤は悪い色という思い込みがあるので、赤い服を着た知らない人などがいたら、大変なことになる。

自閉症というと、何か舌足らずなしゃべり方をさせたりする作家のほうが多いように思うが、このマーク・ハッドンは、クリストファーにきっちりしゃべらせているし、書かせている。全体として、確かにおかしいのだけれど、それはクリストファーの感じ方が普通の人と違うせいだ。この奇妙な感じは、読んでみなければとてもわかるものではないと思う。

なぜかというと、私にはうまく説明できないからだ。想像力を欠いた観察というものが、これほど面白いものだとは思ってもいなかった。


〓〓〓 BOOK

◆読了した本

『夜中に犬に起こった奇妙な事件』/マーク・ハッドン (著), Mark Haddon (原著), 小尾 芙佐 (翻訳)
単行本: 373 p ; サイズ(cm): 19 x 13
出版社: 早川書房 ; ISBN: 4152500093 ; (2003/06)
内容(「MARC」データベースより)
数学や物理では天才なのに、他人とうまくつきあえない自閉症の少年クリストファー。ある夜、近所の飼い犬が殺された。彼は探偵となって犯人を捜しながら、事細かに記録を取る。やがて驚くべき事実が明らかになり…。

Publishers Weekly
この啓示的な小説の語り手は、15歳の自閉症の少年 Christopher Boone だ。うめくことと頭の中で数学の問題を解くことで気を落ちつけ、赤いものは食べるが黄色いものと茶色いものは食べず、触られると叫ぶ。変わっていると思うかもしれないが、彼にしてみれば他の人たちこそ謎だ。というのも、ほとんどの人が本能的に頭の中で他人の考えていることを推測するが、彼にはその能力がないからだ。

隣家のプードルが何者かに殺され、その濡れ衣を着せられた Christopher は、お気に入りのキャラクターのひとりシャーロック・ホームズをまねて犯人を探そうと決意する。事件がやがて両親の離婚の秘密、さらには自分の居場所探しへとつながっていくなか、彼は推理によって、自分にとっては綴じられたままの本に等しい世間の感情的な複雑さを切り抜けていかざるをえなくなる。

これが処女作となる Haddon の手の中で、Christopher は魅力的なケーススタディであり、何より、思いやりのある少年である。典型的なタイプのように完全に心を閉ざしているのではなく、普通の人間のように周囲の環境を振るい分けることができないために、感情の波にあまりに無防備に圧倒されてしまうのだ。

Christopher が入り乱れる刺激を理解する方法はただ1つ、抽象的なパターンに当てはめることだ(「黄色い車が4台並んだ日は黒い日だ。誰にも口をきかないで読みかけの本の上に座って何も食べないで危ないことをしない日だ」)。想像力を欠く観察が、一種詩的な感性と辛辣な人物描写に拍車をかける。Christopher は「これは笑える本じゃない。ぼくはジョークは言えない。ジョークはわからないから」と言い張るが、この小説は感動的で皮肉なユーモアにあふれている。その結果、独特の語り口が胸に迫る、目を見張るような作品になっている。
Copyright 2003 Reed Business Information, Inc.
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【 2005/10/04/23/51/57 (Tue) 】 読書と日常 | TB(0) | CM(0)