
*…読書中…*
●Joanne Harris
『Five Quarters of the Orange』(邦題:1/4のオレンジ5切れ)
※『ショコラ』『ブラックべりー・ワイン』に次ぐ、食にまつわる題名を冠した小説シリーズ“フード・トリロジー(食の三部作)”の最後の一作。本書は、同じようにフランスを舞台とし、いかにもおいしげな料理の描写にあふれながらも、前二作とはかなり趣を異にした、ビターでダークな一面を持っている。本書においてオレンジは必ずしも吉兆の食べ物ではない。血のように赤い果汁を滴らせるオレンジはある種の凶器となり、主人公の心に突き刺さる過去の事件をよびさますシンボルにもなっている。