
ガルシア・マルケスの『族長の秋 他6篇』の表題作「族長の秋」を読んでいるのだが、第一章44ページ、まったく段落なしというのにびっくりした。もちろんこの後、第二章も、第三章も、段落なしの文章が延々と続く。
マルケスの文章の特徴のひとつは、会話も何も分けずに、全部文章の中に入れてひたすら繋げて語るというところにあるわけだが、それをわかっていながらも、改めて驚く。切れ目のない文章を読むのも大変だが、訳すのはどれほど大変だろうかと、翻訳者の苦労にまで思いは及ぶ。
しかし、それでいて流れるようなリズムと文体は、見事だと言うほかはない。ノーベル文学賞を受賞したのも十分納得できる。全部を読んだわけではないが、これまでにそう思えたノーベル賞作家は、ジョン・スタインベックとガルシア・マルケスだけだ。好きな作家はたくさんいるが、こういう作家は尊敬する。
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