*…読書中…*
●松浦寿輝『川の光』
※これは、川のほとりに平穏に暮らしていた三匹のネズミの一家が、巣穴から追い立てられ、新天地を求めて川を上流へ遡ってゆく冒険の物語です。…わたしの生涯はだんだん終わりが見えてきて、それなのにやらなければならないことがまだ山積しており、だからたぶんこうしたものを書くことはもう二度とふたたびないでしょう。いま思うのは、有限の生のはかない時間をいつくしみ、自分なりにできるだけ充実させようと努めながら、また周囲の人々の好意と親切に支えられ、動物だの植物だのに慰められながら、一日一日を精いっぱい暮らしてゆくこと―そのこと自体が、川を遡ってゆく長い長い旅に似ているのではないかということです。―あとがきより