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日刊知的ぐうたら生活

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シングルトンズ・ダイアリー(初日)/熱海の花火大会(1)

今年の夏の我が家のメインイベントである。
私の体調不良で、飛行機禁止令が言い渡されたため、予定していたアメリカ行きが中止になり、急遽、熱海の花火大会に行くことに決まった。それも神宮のあまりにも低くしょぼい花火と、過剰な警備にうんざりして、「やっぱり花火は熱海だ!」ということになったのである。

しかし有名な花火大会ゆえ、宿が取れない。夏休みも終わりだし、花火大会の前後ならいくらでも取れるが、それじゃ何の意味もない。インターネットで探しまくって、やっと1軒だけあった。
その時点では大喜びで、有頂天であったのが、まもなく「何故、ここだけ残っていたのか?」という、いいようのない不安に変わった。

だが、取り越し苦労をしても仕方がない。旅行社でパンフレットをもらって見てみると、純和風、ローマ風呂付きの旅館である。この組み合わせがよくわからない。嫌な予感。眺望「海」、シンプルだ。熱海駅から車で5分、送迎なし。むむむ。夕食・朝食とも部屋食。ということは、仲居さんになにがしか包まねばならないということだ。夕食の写真もありきたりで、そそられない。舟盛りさえ付ければいいと思っている旅館のそれである。しかし、他にないのだから仕方がない。

そんなわけで、新幹線の切符を買ったことのない私(これまでは、誰かしらが手配してくれていたということに、初めて気づいた)が、前売り切符を新宿駅で買えず、わざわざ空いている信濃町まで行って買ったというアホのような準備を経て、今日に至ったわけである。この時、周囲からさんざんばかにされた。。。

夏の終りの花火・・・さびしい。さびれた純和風旅館・・・さびしい。どう考えても「イケてない」イベントになりそうだ。それはそれで思い出に残るかもしれないが、いつまでも一抹の不安がよぎるのは、否定できない。

さて当日、不安な心を抱えながら東京駅に行き、初めて自分で買った切符を取り出して、誇らしげに自動改札を通ろうとすると、ピンポーン!

「お客さん、これじゃ熱海へは行けませんよ。東北新幹線だから」!

ったく、最初からドジった。この先嫌なことがありませんように!と祈るような気持ちで新幹線に乗り込んだのだった。

1時間ほどで熱海に着くと、念のため宿に電話してみる。よそのホテルや旅館の送迎バスがたくさん列をなしていて、もしかしたら、そこの純和風・ローマ風呂付き旅館のもあるのではないかと、かすかな希望を抱いたからだ。期待に反して、ありませんという非情な答え。仕方なくタクシーで宿へと向かった。たしか宿の人は、「たったのワンメーターですから!」といったはずだ。熱海ではワンメーターで710円だったのか!

宿の玄関で、田舎によくいる近所のおじさん連中が、みんなで「いらっしゃいませ!」と言っている。もしかして、これが従業員?着いた途端に予感が的中したことを悟る。部屋は、書くまでもない、よくある純和風旅館である。窓の外にある手すりなどは、夏目漱石が修善寺で倒れた時に泊まっていた宿の手すりを復元したみたいな、時代がかってすすけた木の手すりだ。トイレはウォッシュレットなどがついて新式だが、床の上を小さな蟻やらクモやらが動き回っている。部屋の隅には何やら古い鏡台。背中にゾクっとしたものを感じて、床の間(一応)に飾ってある絵の額縁の裏をひっくり返してみた。魔よけのお札はなかった。

夕食前にひと風呂浴びようと向かった露天風呂(そこの売りであるローマ風呂は、その時間は男湯になっていた)は、たしかに海が一望できるのは間違いないのだが、身体を洗う蛇口がたったふたつしかなく、そこがふさがっている間は、平らな海を眺めるばかりで、ただじっと湯につかっているしかない。退屈。花火を見てからもう一度違うお風呂にはいればいいと、早々に出た。

さて、花火大会に行く前に夕食である。これも予想通り、舟盛りさえつければいいという、純和風・ローマ風呂つき旅館にありきたりの夕食であったので、特筆するべきことはない。しかし、その時、にわかに土砂降りの雨がふってきたのである。まさにOH MY GOD!である。ああ、またしても不幸が訪れたのか!わざわざ通常より高い値段で、こんな純和風・ローマ風呂つき旅館に泊まりにきたわけじゃないと泣きたくなる思いだった。口数も少なく、夕食を食べ終えると、いつしか雨は止んでいた。神様もさすがに哀れに思ってくださったのだろうか。

いよいよ花火大会である。混雑の中押し合いへし合いして見るのは、もう勘弁という感じだったので、有料観覧席(前売り800円)を買ってある。ここなら座ってゆっくり見れるからだ。なかなかいいロケーション。ちょっと濡れているけど、雨が降っていたかもしれないことに比べれば、なんのことはない。

しかし、ここでも問題は起こった。うしろに座った若い女性のうるさいこと!近頃の若い子たちは、携帯電話やウォークマンで耳が遠くなっているせいか、やたらに声がでかい。そのうえその女性は、おしゃべりだった。一時もしゃべるのをやめない。これはたまらない、せっかくのロマンチックな気分が台無しになると思い、そそくさと避難。

ところが、実はこれがよかったのだ。今度は芸者のお姐さん連の前で、花火があがっている間、それは楽しい一時だった。芸者さんは誉めるのが上手だから、形容詞が豊富だ。だから、逐一素晴らしい実況をしてくれる。まるで、ただで芸者さんを頼んだみたいで、ちょっと気分がよかった。

そして肝心の花火は、もう言葉には表せないくらいに素晴らしかった。3箇所から打ち上げるので、空いっぱいに広がって見える。打ち上げ台の近くだったので、音も身体中に響いてすごい迫力だし、頭の上で大輪の花が開き、見る間に流れ星に変わっていく。まるで宇宙のビッグバンの真っ只中にいるようだ。これこそ筆舌尽くしがたいということではなかろうかと、芸者さんたちの実況とは裏腹に、言葉を失い、驚きの叫びばかりを上げていた私であった。ここまで来るのに、今年はどれほどの不幸を乗り越えてきたことか・・・、ふと涙さえ浮かんだ私である。感激した。
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【 2001/08/27/23/14/40 (Mon) 】 読書と日常 | TB(0) | CM(0)
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