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日刊知的ぐうたら生活

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シングルトンズ・ダイアリー/熱海の花火大会(2)

昨夜の花火大会は、本当に素晴らしかった!あれだけ素晴らしかったのだから、来た甲斐もあるというもの。純和風・ローマ風呂つき旅館でもいいじゃないかと思ったのも束の間、花火大会の帰りは、タクシーもなく、もちろん旅館のお迎えなどあるわけがないので、仕方なくテクテクと伊豆山にある宿まで歩いて(山なので、登ってといったほうがいいかも)帰った。雨のあとで蒸し暑く、上り坂であるために、非常に疲れた。しかし、時折吹く風が心地良い。さすがに海があると違うものだと思った。

汗を流すために、今度は展望風呂へと向かう。何の事はない、ただの大きな銭湯といったところだ。展望風呂というのに、何も見えないし。しかし、こちらは蛇口がたくさんあったので、心置きなく身体を洗えてほっとする。どんなに自然が素晴らしいとしても、「不便」には対処できないと思った一瞬である。結局くだんの「ローマ風呂」には入れなかったのだが、入った連れに聞くところによると、「江戸川乱歩の世界」のようだったとのこと。なんのことやらである。

ずいぶん疲れていたので、早々に布団に入り、例によって懐中電灯で本を読む。柴田元幸編・訳『夜の姉妹団』だ。病院に持って行ったときには、集中できなくて全然読めなかったが、なかなかに面白い1冊だった。ところで、本を読んでいる間、ずっと気になって仕方がなかったのが、あの古めかしい鏡台である。真正面から見えるわけではないが、布団の中から斜めに鏡の中が見える。これが怖い!とにかく、目をそらしても、またそこに目が行ってしまうのだ。結局明るくなるまで、何か見えるのではないかと気になって、眠れなかった。なんとなくざわざわしてもいるし、途中でお酒など飲んでみたが、一向に眠れないのだ。

実のところ眠れなかった一番の原因は、硬くて高い、首の骨の折れそうな枕にあった。どう向きを変えてもダメなので、やむなく座布団を枕にして寝た。それに、鼻をつく旅館特有の匂い。あれは何の匂いなんだろう?古い旅館では必ず匂う。食事の匂いが染み付いているのか、温泉の匂いか、はたまたあれが日本人の体臭なのか?私はあの匂いが嫌いで、そのために和風の旅館が嫌いと言っても過言ではない。ここではその匂いが、至る所にたち込めている。窓を開けても全く消えない(とはいえスズメバチがいるので、容易に窓は開けられなかった)。布団にも染み付いているようだ。気に障る匂いがあると、やはり眠れないものだ。

やっとうつらうつらしたと思ったら、蚊にさされて目が醒めた。外はもう明るい。憎たらしい蚊はあの世に送った。ふと海のほうを見ると、日の出だ。真赤な太陽が、まるで花札のぼうずみたいにぬっと出ている。ここじゃ日の出も和風だなと思いながら、なんとかもう一度寝ようとがんばっているうち、フロントからの電話で起こされる。それでも1時間半くらいは寝たのだろうか。純和風・ローマ風呂つきの旅館の朝は早いのだ。一刻も早く、純和風・ローマ風呂つき旅館を出たかったので、そそくさと朝ご飯を食べ、そそくさと仕度をして、そそくさと出てきた。なぜか今度はバスで熱海駅まで送ってくれた。

熱海では海も平らで退屈だし、ほかに見るものもないので、城が崎まで足を伸ばす。50分ほど、クーラーの効かない伊豆急に揺られ、やっと城が崎海岸駅に着いてみると、まるで高原といった風情で海など見えない。地図にしたがって歩くこと1時間。途中、寂しいから話してってよというお土産屋のおじさんに邪魔され、さんざん話を聞かされて、やっと解放されて目的地に着くと、そこは海岸ではなく、断崖絶壁だった。さすがに海の色も深い青できれいだったが、吊り橋は揺れて怖いし、もしかしたら誰かに後ろから突き落とされるのでは?と始終気にしながらいたので、まるで楽しんだようではなかった。ヒールのあるサンダルを履いていたので、ゴツゴツした岩の上でバランスを崩して膝を擦りむくし、けして高所恐怖症ではないが、手すりも何もない、あの断崖絶壁は、やっぱり怖かった。

ひととおり眺めて、写真もいくつか撮り、もういいだろうと思い、来た道を戻る。なんとほっとしたことか!途中で昼食にお蕎麦を食べたが、生協の98円のとろろそばのほうがよっぽどおいしい!といったような代物だった。隣で食べていた女の子が、すごくまずそうに食べていたので、ちょっといやーな予感はしていたのだけれど、やっぱり!その予感が当たったことに、ちょっと満足しながら、帰り道を急いだ。早めの新幹線に乗ろう!早く東京に帰ろう!という思いでいっぱいだった。

熱海にせっかく来たのだからなどという未練など、これぽっちもない帰りの新幹線の中。寝不足だし、歩き疲れてもいるし、とにかく寝たかった。ところが、前に座った若い男女(大ばかカップル)が、座席はガタガタ揺らすし、大声でわーわー騒いでいる。車内には、他にしゃべっている人など誰もいない。皆、あきれて物も言えないのだ。しかし注意でもすれば、昨今殺されるかもしれないし、と誰も口を閉ざしている。どうにも我慢ができないので、空いている座席に移ったところ、彼らもまたこちらに来るではないか!もうしたい放題大騒ぎなのだ。

私が何か注意しなくちゃいけないんだろうか?でも、こんなばかに不幸のとどめをさされたくない。周りを見ても、皆知らんふりしているし、もし私が殴られたり、殺されたりしても、きっと誰も助けてくれないだろう・・・。やっぱり黙っていたほうがいい。東京までもう少しだ。我慢しよう。

東京駅。ほっとため息をもらす。古い鏡台も断崖絶壁も怖かったが、ばかな人間が一番怖い。早く家に帰ろう。
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【 2001/08/28/23/16/32 (Tue) 】 読書と日常 | TB(0) | CM(0)
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